ED(勃起不全)の原因とタイプ
2020/05/11
ED(勃起不全)はこれまで加齢によって症状を発するものとして捉えられていました。もう年だからと加齢を理由にEDの治療をあきらめてしまうということも多くありました。しかし、バイアグラが登場して以降、EDは年齢に、原因にかかわらず治療が可能だということがわかってきました。EDの原因を突き止めることができればEDは改善できます。そして、以前のようなナイトライフをまた過すことができるようになります。
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ED(勃起不全)のメカニズム
ED(勃起不全)を発症してしまったとき、体内では何が起きているのでしょうか。正常時の勃起のメカニズムとEDを発症したときの状況で起こることの違いからEDの原因を探ります。
勃起のメカニズム
正常な状態では性的興奮を得て脳から「勃起」を起こせという信号が発せられペニスにまで伝わると、それに伴って海綿体内部でNO(一酸化窒素)が放出されます。放出されたNOは血管や筋肉に作用してサイリックGMPという血管に拡張を促す物質を増やし、血流が増えて勃起します。
勃起すると今度はその勃起を維持するために海綿体内部の静脈が圧迫されて海綿体からの血流の流出を抑えます。ある程度時間が経ち性的興奮が収まるか射精を済ませると、今度は勃起を解除するためにPDE5という酵素がサイリックGMPを分解・不活化し、血管をふたたび収縮させます。血流が平常時に戻り勃起は終息します。
ED(勃起不全)を発症すると
EDを発症すると、性的興奮を得ても十分にその刺激が伝わらないことがあります。性的刺激がうまく伝達できないとNO(一酸化窒素)が十分に放出できなくなり、血管を拡張するための信号が得られなくなります。また、性的興奮を得ても血管を拡張させるために必要な働きの一部に異常が起きてしまっていると、十分に血管が拡張できなくなります。血管が十分に拡張できないと血流を増やせず、海綿体内部ですぐにPDE5が優位な状態になり、サイリッククGMPを分解してしまい、性的興奮が収まる前に血管を収縮させてしまい興奮してるのに勃起が治まってしまうという状態になります。
ED(勃起不全)の原因とタイプ
EDは何らかの理由で十分に血管が拡張できなくなり、ペニス内部の海綿体に十分に血液が流れず、静脈の圧迫も不十分なために中折れや硬さが不十分な勃起と言ったED(勃起不全)の症状を引き起こします。血液がペニス内部の海綿体に十分に届けることができないために勃起が不十分な状態になってしまうことがEDの原因です。
血管が十分に拡張できないこと、その理由は一つだけではありません。
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ストレスや不安など心理的な理由:心因性ED
心因性EDは20~40歳ぐらいの若い方によく見られるEDです。心理的に何らかの抑制が働いてしまい、性的刺激を十分に得ることができなくなります。
普段の生活の中で抱えてしまう不安や緊張と言った心理的なストレス。このストレスが時にEDを引き起こしてしまうことがあります。また、性行為がうまくいかなかったり彼女から思わぬことを言われてしまったときなどもEDの引き金となり得ます。
生活の中以外にもEDの引き金になるものとしてPTSDや性的トラウマと言った過去の負った心の深層心理が原因となることもあります。過去の心理的ショックの場合、本人に自覚がないことも多く、原因の究明の障害となることもあり、治療が難しくなることがあります。
心因性EDは意外なきっかけで簡単に改善できることがあります。特に成功経験や精神的な余裕が生まれることでEDを改善することができます。そのきっかけとして勃起薬をうまく活用することで成功経験を重ねると言ったことも治療の一環として行われます。
心因性EDの原因となる要素 | |
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日常生活の中 | 過度のストレス |
深層心理 | PTSD、性的虐待など |
精神疾患 | うつ病、パニック障害、自律神経失調症、統合失調症など |
加齢による動脈硬化、生活習慣病、外傷など、疾患や障害によるもの:器質性ED
40歳を超えると生活習慣病や加齢による疾患や障害が起こることが増えてきます。加齢による影響は血管の障害の一つ、動脈硬化として現れます。血管の老化現象とも言える動脈硬化は生まれた時からすでに始まっています。30歳も超えると動脈硬化と認められる血管も表れだします。50代も超えると血管自体が狭まりだし、十分に血流が行き渡らなくなる部位も出てきます。動脈硬化を起こし、血流が滞ってしまった血管がペニスにつながっているとすればEDになる可能性が高まります。
動脈硬化は喫煙によっても進行していきます。老化現象でもある動脈硬化は生活習慣が乱れていなければその進行はゆっくりとしたもので高齢になったからと言って血栓や動脈瘤と言った問題を抱えるような動脈硬化になるリスクへ少ないです。しかし、喫煙は動脈硬化を促進してしまい、重篤な症状に至るリスクを増やします。EDの原因となるペニスに繋がる血管にもその影響を受けるリスクが高まります。
生活習慣病に起因するEDも多く、糖尿病、高血圧、脂質異常症に罹患している方の約60%以上はEDも併発していると言われます。特に糖尿病患者の方は80%、実に5人に4人はEDを発症しているという報告もあります。
脂質異常症は動脈硬化の原因であり、動脈硬化をより加速させてしまいます。高血圧も、動脈硬化の原因の一つであり、これもまたEDの可能性を高めます。そして高血圧を抑制する医薬品によってはその作用がEDを引き起こしてしまうこともあります。糖尿病は血管を閉塞させてしまったり。神経の伝達に障害を引き起こします。そのことによって神経伝達が滞ったり血流が滞ることでEDを引き起こしてしまいます。
脳に起きてしまった障害や外傷、手術による後遺症などでもEDは起こります。脳出血や脳梗塞などで神経が遮断されてしまったり神経伝達に影響を受けることで十分な刺激を受けることができなくなることで勃起ができなくなることがります。外傷や手術などで神経が傷ついたり血管が傷ついてしまったりすると、これもEDの引き金になることがあります。
前立腺肥大症をはじめとした泌尿器系の疾患や治療によってもEDの原因となります。排尿機能の衰えが心理的に作用を引き起こしてしまうこともあります。泌尿器障害の治療によっても外科的治療であれば神経や血管に傷がついてしまったり、内科的治療においても処方された医薬品によってはEDを引き起こしてしまうことがあります。
器質性EDの原因となる要素 | |
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加齢 | 動脈硬化 |
生活習慣病 | 糖尿病、高血圧、脂質異常症 |
脳疾患 | 脳出血、脳梗塞、アルツハイマー病など |
喫煙 | 動脈硬化、糖尿病、高血圧、脂質異常症など |
泌尿器疾患 | 前立腺肥大症、前立腺がん、排尿障害 |
服用している医薬品によるもの:薬剤性ED
普段服用している医薬品もその作用によってはEDの引き金となってしまうことがあります。抗うつ剤や向精神薬のような中枢神経に作用する薬、降圧剤や利尿剤と言った循環器系に作用する薬などはその作用によって神経伝達や血流を滞らせてしまう作用を持つため、その作用によってEDを引き起こしてしまいます。
他にも前立腺がん治療に用いられる男性ホルモン抑制剤や抗アンドロゲン剤は男性ホルモンのテストステロンを抑制してしまうためED・性欲低下が起こり得ます。これらの薬剤ですと男性ホルモンの低下によってED以前の性欲が減衰してしまうため、そもそもEDを病気と受け止めない方も少ないありません。
薬剤性EDの原因となる医薬品 | |
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中枢神経系作用 | 解熱・鎮痛剤、抗うつ剤、向精神薬、抗てんかん薬など |
末梢神経系作用 | 鎮けい薬、抗コリン薬 |
循環器系作用 | 抗不整脈薬、利尿薬、降圧薬、血管拡張薬など |
消化器系作用 | 消化性潰瘍治療薬など |
EDの原因は3つのタイプが併発していることも
EDの原因のタイプは心因性、器質性、薬剤性の3つですが1つのタイプが原因とは限りません。特に薬剤性EDの場合はその治療している疾患によって心因性や器質性のタイプと併発している可能性があります。併発している場合は、その症状や治療内容を確かめた上でEDをどう治療していくか慎重に判断しなくてはいけません。
勃起薬はすべてのタイプの原因であっても治療が可能ですが、狭心症などの循環器系の疾患や脳疾患などによっては服用は禁忌となっていることもあります。服用している医薬品によっても併用ができないことがあります。そのようなときは医師に必ず相談してEDの治療方法を考えましょう。